kounankunobachoのブログ

横浜生まれ、横浜育ちのBayStarsのファンです。大阪在住が長くなり、故郷とのつながりを唯一感じられるのがベイスターズ。選手、監督、スタッフの気持ちになったつもりで、応援しています。

「連投の利く」中継ぎを目指す須田幸太投手

 『文芸春秋』9月特別号に、「東大野球部にカツを入れた矢沢健一の言葉」というエッセイがある。4年にわたり打撃コーチとして関わる早大卒矢沢へのインタビューをもとにした記事で、スポーツ推薦のない野球部の奮闘の様子がよく伝わってくる。しかし、ここではそれとは別に、次の指摘に注目したい。以下は、その抜粋。


 矢沢の目から見て、東大のレギュラーのうち、他大学でもレギュラーになれそうな選手が毎年3人はいる。ならば、どうして、94連敗もしたのかと疑問に思うが、矢沢氏の答えは明快だった。「野手には、他大学でもできそうな子は多いんです。しかし、投手だと、なかなか・・・。完投能力があるとか、連投が利くとか、コントロールが良いとか、スピードがあるとか、そういう投手は、どうしても少ない」


 「連投が利く」投手というのは、一つの才能であることがわかる。それが苦手である選手を無理やり中継ぎにすることは無謀であるし、連投に適性がある選手を見つけることが勝ち越すうえで重要だということだ。プロ野球の場合、中継ぎと抑えがその役割を担う。


 今年のDeNAでは、須田幸太投手が中継ぎに意欲を燃やしている。以下は、須田投手に関するベースボール・キングの記事抜粋。
 


「僕は頼られる存在になりたい」DeNA須田、生き残りへ“究極の便利屋”としての覚悟
場所を問わず、必死に投げる
 チームへの貢献と自身の生き残りを賭けて須田幸太がした選択は“究極の便利屋”だ。

 2010年のドラフト会議で1位指名され早稲田大学から横浜ベイスターズ(当時)に入団した須田は、先発投手として期待され、3年目の2013年には自身最多の6勝をマークしている。さらなる成長を望まれた翌2014年、須田は不振に陥ってしまい、先発としての登板はわずか1試合のみで周囲の期待を裏切ってしまう。

 活躍をしなければクビもありうると考えていた昨シーズン、須田は新たな道で活路を見出すことになった。
「ピンチをチャンスに変えるような起用をしてもらい復活の一手が打てました」

 昨年の須田は、シーズン途中に先発ローテーションに入ると、それだけに止まらず、ロングリリーフや敗戦処理、またはストッパーなどで抜擢された。

 場所を問わず献身的に投げる姿は、かつての須田とは違う、必死さと逞しさにあふれていた。

 9月5日に横浜スタジアムで行われた巨人戦では、1点リードの9回表、1死1、3塁というピンチの場面でマウンドに上がると、打者二人を斬って取り初セーブを挙げている。持ち前のベビーフェイスに鋭い眼光を宿し、強いボールを投げ込むその勝負度胸満点の姿に、詰めかけたDeNAファンは大歓声を送った。

「ほとんど緊張はしませんでしたが、あの投球はファンの後押しがあってこそ。試合終了後のハマスタでの大歓声は、今でも忘れられません」

どんな場所・場面でも投げる
 自分は何を求められ、何をするべきなのか――生きる道は定まった。

「昨年、ピッチャーとしてすべてのポジションをやらせてもらったので、その経験をリセットせず、今シーズンに生かしたい」

 須田は、どんな場面、どんな状況であっても、マウンドに立つことを決意している。

 はっきり言ってしまえば地味な役回りである。
 スポットライトが当たるような華々しさはなく、良い投球をしても数字に表れることはあまりない。

 しかし現代野球を鑑みれば、スクランブルで登板できる屈強な縁の下の力持ちがいなければ、長いペナントレースを戦い抜く強いチームにはなることはできない。その一端を担うことを須田は誓っている。

「昨年、フロントの方と話したとき、うちのチームは生え抜きの便利屋が成功した例はないと言うんです。だったら自分がやってやろうじゃなかって。だからラミレス監督には、どんな場面であっても使ってくれと伝えてあります。谷間の先発でも敗戦処理でもロングリリーフでも。昨シーズンは29試合投げたので、今シーズンは40試合、いやできれば50試合を目指して投げたい」

 強い言葉。強い覚悟。そこにはかつて大卒ドラ1としてローテーションの一角を担ったプライドなどなく、今年30歳になる生え抜き選手ならではのチームとチームメイトへ対する思いが込められている。


若い選手たちのためにも……
「先発のときは中継ぎの投手に迷惑をかけたこともあったし、助けられてきたこともありました。今はその大変さが身に染みてわかっています。だからこそ先発投手の勝ち星を消すようなことは絶対にしたくない。とくに砂田(毅樹)や石田(健大)といった若い選手、今永(昇太)や熊原(健人)といった新人が先発をするのであれば、なおさらです。僕は頼られる存在になりたいんですよ」


 これからを担う若い選手たちを落胆させ、成長を阻むような真似はしたくない。信頼できるバックアップがいてこそ、経験値の少ない選手たちは安心して投げることができる。DeNAは若いチームであり、ポテンシャルだけを見れば他球団に劣ることはない。彼らの自信を深めさせ、若い力を伸ばしたい。須田は自分の能力が活用できるだろう居場所を見つけた。


「自分が投げるのは7、8、9回じゃない。やっぱり中継ぎならば、先発がマウンドを降りた5回、6回だと思うし、いい流れを途切れさせないようにしないといけない。逆に先発が崩れて3回から3イニング投げるのであれば、悪い流れを断ち切って、いい流れを呼び込み、負け星を消す働きができるようにしたい」


 気がつけば須田が投げている――捲土重来を期すDeNAにとって“究極の便利屋”の登場は、チーム力向上につながることは間違いない。未来を見据えた須田のタフネスな1年が、今始まろうとしている。(引用、終わり)


 大学野球で勝ち点をとるために求められる「連投の利く」投手。「どんな場所・場面でも投げる」覚悟のある投手。それは実はカードを勝ち越すために必須の選手だ。お膳立てされた場面で登板する先発投手、クローザーより重要ともいえる。須田投手の覚悟を歓迎し、彼の成長を温かく見守りたい。

×

非ログインユーザーとして返信する