kounankunobachoのブログ

横浜生まれ、横浜育ちのBayStarsのファンです。大阪在住が長くなり、故郷とのつながりを唯一感じられるのがベイスターズ。選手、監督、スタッフの気持ちになったつもりで、応援しています。

DeNA・正捕手不在論争に終止符。どの捕手をも温かく見守るために

 広島との練習試合の動画配信もなく、今日のDeNAファンの動きは、明らかに不活発だ。


 そんななか、横浜快星会さんから次のような実に分析力のある記事が発表された。ベイスターズがDeNAとして生まれ変わる以前の球団史を視野に入れた、捕手育成の構造的問題を論じている。さすが長年のファンが書いたものであり、日々の出来事を追いかける新聞記事と違い、深みがある。

 4年前の鶴岡一成の人的補償については、これまで、なぜ彼のプロテクトを外したのかという問題だけが取り上げられてきた。しかし、それ以前においても、FA補強のベテラン捕手を、球団が十分生かせず、彼らを追いやることを繰り返してきたこと、したがって経験があり、捕手としてのスキルを若手に継承していくことができないで、ここまで来てしまったことが、正捕手不在を生んでいると指摘している。捕手に能力がないのではない。捕手の能力を引き出せなかった、これまでの体制に問題があったというわけである。


 正捕手不在は、他の面にも波及する。こうも言えるかもしれない。信頼される捕手がチームにどっしりと座ってこなかったことが、ベイスターズ投手陣が成長しきれずに来た、と。


 「ラミレス体制、唯一の空席・捕手」は、今のチームにとって何よりも早く成長する必要があるポジションであり、そこが定まったときこそ、黄金時代を築くことになるのだろう。



“ベテラン”黒羽根利規の存在証明

・ラミレス体制唯一の空席・「正捕手」

    打順を1番から6番までキャンプ前に口にしたり1月には開幕投手を公言してしまう監督
そんな指揮官本人もまだレギュラーが誰かの青写真ができていないポジションがキャッチャーではないだろうか
DeNAとなってからの4年間、捕手を固定することは出来ず、チームは浮上できなかった
「目標は優勝」そう就任会見で話したラミレス監督にとっては正捕手争いに終止符をうつことが
1番に求められている課題であり優勝への絶対条件でもある

だからこそ正捕手について問われると指揮官の語気も強くなる
「打率が高いとかリードができることは求めていない。キャッチングとブロックができて、スローイングがいいことが1番の条件。リードは全部ベンチで出す」

サインはベンチから出すからとにかく、最低限のことはやってくれ
低レベルなところでの争いにも見えるが
12球団でワースト1位のバッテリーエラーを犯した捕手陣に高いレベルのことを求めるつもりはないようだ
しかし、ベイスターズの捕手陣は決してレベルが低いとは思わない


・高城、黒羽根、嶺井の3人に新人戸柱、網谷・

現状ベイスターズの正捕手の座は5人に絞られている…(5人じゃ絞ってないが…)
ここまで行われたオープン戦・練習試合などで結果を出している高城・戸柱
昨シーズン球団では相川以来の捕手で本塁打5本を放ち後半戦メイン捕手だった嶺井
そして練習試合で結果を出しラミレス監督に期待をかけられたものの
23日に骨折で離脱してしまった育成の網谷
さらに黒羽根がいる

この5人の顔ぶれを見て私にはどうしてもこの捕手陣のレベルが低いとは思えない
高校時代から肩打撃スローイングそしてリード度胸とピカイチだった高城
亜細亜大学で主将としてチームを引っ張り優勝に導いた嶺井
12球団1といってもいい強肩の黒羽根
ルーキー以外の3人だけを見ても高い潜在能力を持っているはずだ
どう考えても他11球団より劣っているとは思えない

今シーズン必ずこの中から高いレベルの正捕手が登場すると思っている

・29歳で最年長、黒羽根利規の存在証明・

そんなベイスターズ捕手陣の中で今年正捕手を獲らなければ後がない状態に追い込まれてしまうのが
今年29歳でありながら球団最年長捕手となる黒羽根だ
プロでのキャリアだけを考えても実績だけなら彼が5人の正捕手候補の中でも1番だ

細山田武山が文字通り低いレベルでの正捕手争いを繰り広げる時代から
徐々に頭角を現しDeNA元年の2012年シーズンに開幕マスクを被り
14年シーズンには109試合に出場し盗塁阻止率もリーグ最高であった

しかし昨シーズンは打撃が絶不調、リード面にも精彩を欠き
5月初旬の中日戦で先発マスクを被りながら3イニングでバッテリーごと変えられるという屈辱も味わった
リズムも合わないのか、先発ローテの投手である井納や同期でもある山口とコンビを組む機会も少なかった
63試合の出場に終わった黒羽根は今シーズン正捕手を獲得する最後のチャンスになるかもしれない

それは年齢的にも29歳を迎えベンチで待機している2番手捕手としては経験が浅い彼には
“正捕手を獲得できなかった=プロ野球人生の危機”ということにもなりかねない
周囲も本人も今シーズンがどれだけ重要かはわかっているだろう
しかし今黒羽根が苦しんでいる原因は本人の実力だけではなくチームの歪な編成にもあった気がしてならない

・ベテランとバッテリコーチ“不在”のダブルパンチ・

黒羽根が109試合に出場した14年開幕前黒羽根にとってはプレッシャーのかかる厳しい状況であった
12年、13年とチーム最年長であった鶴岡一成がFA久保の人的補償で阪神に移籍
投手陣からも黒羽根や高城2人の若手捕手からも信頼の厚かった鶴岡の移籍は
バッテリー陣の精神的な柱を失い、チームが浮足立つきっかけにもなる
13年シーズンわずか30試合しかマスクを被っていない黒羽根に大きなプレッシャーがかかった
結果的に109試合というプロ入り最多出場ではあったが自慢のスローイングにミスが目立ち
ややイップス気味な送球も見られた

普通であればこのような時にこそベテラン捕手の助けが必要な時ではあるが
鶴岡移籍後特にベテラン捕手の補強もしなかったベイスターズにはそれもなく
頼りになるはずのバッテリコーチも所詮は現役時代の出場試合数は143試合
シーズン1年分程度の実績しかないのだから
「気持ちの問題だから」と一言アドバイスを送るだけで技術的な指導はできていなかった
これでは黒羽根という潜在能力の高い捕手の才能は活かすことはできない
そして15年シーズン黒羽根は飛躍どころか自信すら失ってしまったようにも見える

そもそもこの球団は長年「正捕手育成」を謳っても捕手を育成する土壌もなかった

・FA補強のベテラン捕手を生かさず殺したツケ・

そもそもベテラン捕手をしっかりこのチームで引退させれば
バッテリーコーチに顔と人望しかない人間を置く必要もなかった

相川をFAで放出し鶴岡をトレードで巨人に出した暗黒時代
球団は阪神のベテラン捕手野口を補強した
選手としての峠どころか明日明後日引退もある選手をわざわざ2年で1億5千万という大金で
補強しようとする動きにはファンならずとも理解できなかったが
やくると時代野村ID野球を知りつくし、日本ハムであの98年ビックバン打線の一人として
さらに2000年代中盤の阪神黄金時代を知る野口の補強は
引退後のコーチ就任も考えれば決して悪くない補強でもあったはずだ

しかし球団と現場の連携が恐ろしいほど獲れず首脳陣の指揮も選手の士気も下がっていたチームで
野口は干されていってしまい
翌年にはロッテから再びFAで05年の日本一経験を持つ橋本を補強したことで野口はユニフォームを脱ぎ
今や関西地区で阪神戦解説をするだけで“元横浜”などという肩書は存在しない

この野口を完全に干すきっかけとなった橋本もそうだ
里崎との正捕手争いを繰り広げながら2005年シーズン2位通過でありながら日本一に導き
実績申し分ないこの選手も指導者として残せないような追い込み方をしてしまった
ベイスターズファンからすれば「橋本なんてなんでFAで獲得したんだ」と言うが
個人的なお付き合いのある私のロッテファンである先輩なんかは
「ロッテの黄金時代を引っ張ったのは里崎と橋本」というほどの人材だ

ファンは
彼らを獲得したことの批判より本当は使い方を批判するべきだったのかもしれない

鶴岡の出戻り含めこのように実績申し分ないベテラン捕手を巧く利用できず
若手の大きな助言相手にもなれない短期間でクビを切ってしまったことが
現状ベイスターズに正捕手が育成できなかった原因であり
そしてそれはその時代を若手時代に過ごしていた
黒羽根がここまで正捕手を掴みとれなかった理由にも繋がる

ベテラン捕手からまともな指導を受けてこれなかった黒羽根は
気付けば自分がチームで1番のベテランになってしまった

今年正捕手を獲得できなければ、“引退”もちらつく彼は
このチームで存在証明を見せることができるのだろうか

優勝した1998年ベイスターズの正捕手谷繁元信は黒羽根より1歳下の28歳だった

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